次の朝、手早く朝食を済ませ車は道を外れて荒野を走る。

「近道だ」

 ベリルがそう言い、カーナビは向かう方向を示した。

「このカーナビ、声が無いんですね」

 そう発したとき──

「さっそくお出ましか」

「え?」

 バックミラーを一瞥した彼につられて後ろを向く。

「!」

 小さな影が凄いスピードでこちらに近づいてくる。

「すまんが邪魔が入った」

「え……?」

 その影は大型のジープで、こちらにぶつける勢いで接近してきた。

「掴まれ」

「えええっ!?」

 黒いジープは容赦なくぶつかってきた。