「……ホントに荒野だ」

 窓から見える景色につぶやいた。

 街は海岸沿いにあり大陸の中程はほとんどが荒野だ。

 荒野といっても草木が点在している。

 街から街につながる道路はいくつも張り巡らされてはいるが、活気があるという訳ではない。

「……」

 こんな処に1人にされたら、絶対に生きて行けない。

 小さく身震いしてブランケットを膝にかけた。

 もうすぐ夏になるオーストラリアだが、夜は少し冷える。

「!」

 ソフィアが再び外に目を移すと、暗闇が広がっていた。

 民家の無い砂漠……灯りが無いのは当り前だが初めての暗闇に少し身を震わせる。

「今日はここまでにしよう」

「!?」

 車を止めて外に出る彼につられるように慌ててドアを開いた。

 荷台から折りたたみのイスと食材を入れてあるクーラーを降ろし、たき火の準備を始める。