「ごめんなさい」

「いや」

 じっと待ってくれているベリルに気付いて涙を乱暴に拭い彼を家の中に促した。

 リビングに案内し、遺骨をリビングテーブルの上に乗せキッチンに向かう。
「構わなくて良い」

「……はい」

 そう言われても、やっぱりお客さんには何か出さないと……と生返事を返して冷蔵庫からジュースを取り出す。

 グラスに注いだジュースを彼の前に置き、向かいの2人掛けソファに腰を落とした。

「本当にごめんなさい……」

 すまなそうな表情を浮かべ、伏し目がちに発した彼女にゆっくりと頭を横に振る。

「謝る必要はない」

「父さん……最期はどうでしたか」

「カークは勇敢だった」

 よく通る声がリビングに響く。

 父さんの最期を、その声はしっかりと伝えるように発した。