あなたを愛したいくつかの理由

「ソフィア」

「! 何?」

 夕食が終りリビングでくつろいでいると突然、呼ばれた。彼はグラスを2つ持って右斜めのソファに腰を落とし、話を続ける。

「オーストラリアは初めてか」

「え? うん」

 聞いた彼はブランデーの入れられたグラスを傾け、その言葉に少し考える。

「?」

 首をかしげて見つめていると、彼がおもむろに口を開く。

「旅行でもするか」

「えっ!?」

 いきなりの提案に目を丸くした。

「研修旅行という形ではあるが、ついでに観光するのも良いだろう」

「旅行……」

 ベリルさんと……? 呆然とした。

「明後日に出発だ」

「はやっ!?」

「早いか?」

「いや決断が!」