「ベリル!」

「ん?」

「あたしの部屋に入った!?」

 昼食の準備をしている彼に声を張り上げて問いかけた。

「? 掃除をするためには入らねば」

「!?」

 掃除!? そういえばずっと部屋が綺麗だったわ! あたし掃除してないのに!

「これからはあたしが掃除するから!」

「別に構わんが……」

「あたしの許可無く入っちゃだめ!」

「? そう言うなら」

 なんで今まで気がつかなかったのあたし……頭を抱えて部屋に戻る。そして、うなだれるようにベッドに転がった。

 彼女はある程度、自由にさせてもらっていた。雑誌も自分で購入したもので、彼が『研修生』という名目で彼女に給与というお小遣いを与えている。

「……あたし、ベリルさんの子どもみたいになってるわね」

 ここでようやく自分がただの居候になっている事に気がついた。