「父さん! 早く!」
「気をつけろよソフィア」

 イタリアを思わせる街並み──ヨーロッパの中程にある小国

『フォシエント皇国』

 100年ほど前にはイタリアの占領下にあったため、それまではイタリア語が常用語だった。

 しかし100年前にフォシエントは独立し、イタリアに占領されるまで統治していた皇族の子孫たちが再びこの国を治める事となった。

 資本主義国家だが、統治するのは皇族という珍しい国でもある。

 隣国には

『ルシエッティ王国』があり、長らくその国とは対立関係にあった。

 ルシエッティ王国はイギリスの支配下にあった事もあり、街並みはイギリスを思わせる。

 こちらも100年前に独立し王族が治める統治国家だ。

 フォシエントは独立を機に、国の言葉をイタリア語から英語に切り替えた。

 少々、荒い言葉遣いでオーストラリア英語に近い。

 少女と男がフォシエントの首都、皇族が住む城のある街カーサレティアを歩いていた。