王子様の甘い誘惑【完】


≪プルルルル〜〜♪≫


無機質な呼び出し音が更にあたしのイライラを募らせる。


早く電話に出て……――!!


心の中で叫んだ瞬間、


『はい、愛沢です』


電話越しに呑気なお母さんの声が耳に届いた。


『もしもし!?あたし、理生だけど!!これってどういうこと!?』


『もしもし?理生?もしかして、怒ってるの?』


『怒ってるもなにも……こんなのあんまりじゃない!!』


『ねぇ、理生。蓮くんはとても優しいいい子だから、仲良くやるのよ?』


『優しいいい子!?ありえないから!!』


『とにかく、理生のことは蓮くんにもう頼んであるの。お母さん、今からパートの時間だから。じゃあ、またね』


『チョッ……――お母さん!?』


あたしの情けない声が部屋中に響き渡る。


それと同時に、あたしの耳にプープーッという虚しい機械音が届いた。


「……ありえないよ……」


あたしはしばらくの間、携帯を握りしめてただただ呆然とした。