王子様の甘い誘惑【完】


最上階に着くと、蓮は角部屋の扉をカードキーで開けた。


カードキーなんてものを見る機会のなかったあたしは目をパチクリさせる。


「……おじゃましまぁす」


扉を開けると中はシーンっと静まり返っていて。


広い玄関に靴を揃えて置くと、あたしはソワソワと落ち着かない気持ちを抱えながら、蓮の家に足を踏み入れた。