王子様の甘い誘惑【完】


「ここが家なの……?」


蓮の住むマンションに到着したあたしはポツリと呟いた。


「あぁ。ここの最上階」


蓮はあっけらかんとそう言い放って、マンションに入っていく。


「ねぇ、このマンションって家賃いくら?」


「知らない」


「あんたの親って、何してる人?」


「お前に言う必要はない」


「……ケチッ!!」


小声でそう呟くと、蓮はチラッと横目であたしを睨んだけれど、言い返しては来なかった。



エントランスで暗証番号を打ちむと、自動扉が開く。


蓮はそのままエレベーターに乗ってボタンを押す。


エレベーターが最上階に着くまでの間、あたしはぼんやりと蓮の横顔を眺めていた。