王子様の甘い誘惑【完】




「……ユキ先輩」


下を向いてすれ違うこともできたはず。


だけど、あたしは勇気を振り絞って先輩に声をかけた。


ずっとこのままじゃいけないって、頭の中ではちゃんと分かっていたから。


あたしがユキ先輩の名前を呼ぶと、先輩は顔をわずかに上げた。



「理生……ちゃん。久しぶりだね?」


目が合うと、先輩はパァッと目を輝かせてあたしの目の前まで歩み寄る。


その表情に、胸が痛くなる。



「もう喋れないかと思ってた。理生ちゃん、俺のこと避けてたでしょ?」


やっぱり、ユキ先輩には気付かれていたんだ。


あたしが先輩を避けてたこと……。