文化祭から早2週間。


あたしと蓮は相変わらず一つ屋根の下で暮らしてる。


あの日のことをお互い一切口に出さない。


それがいいのか悪いのかは分からないけれど……。



そんなある日、マンションに意外な人物が姿を現した。


「……あの……、蓮ならまだ帰ってないと思いますけど……」


「今日用事があるのは、理生さんだから。ちょっといいかな?」


マンションの入り口に立っていた人物は柔らかい口調でそう言う。


「あたし……ですか?」


「そう」


愛子さんは大きく頷くと、澄んだ瞳をあたしに向けた。