王子様の甘い誘惑【完】


「ユキが理生のこと好きなのは前から薄々気付いてた」


「そうだったの……?」


「あぁ。で、ユキに何て言われた?」


蓮の茶色い瞳があたしを捕えて離さない。


好きって言われたって……言ったほうがいいのかな?


それとも、隠しておいた方がいいの?


「好きって言われたのか?」


「……うん。言われた……」


あたしがそう答えると、蓮の顔がわずかに強張った。



「そっか。で、お前の気持ちは?」


「あたしは……――」


あたしは蓮が好きだよ……。


だけど、愛子さんに言われた『最低』っていう言葉が未だに頭から離れてくれない。