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その後、あたしは蓮に腕を引かれて体育館裏に連れてこられた。
無表情のままの蓮が何を考えているのかあたしにはサッパリ分からなくて。
だけど、感情を押し殺しているのが分かって胸が痛かった。
「さっき愛子が言ってたことなら気にすんなよ」
体育館裏の階段に座ると、蓮はあたしの横に腰を下ろしながらそう言った。
「……え?」
ユキ先輩のことを攻め立てられると思っていたのに、蓮が怒りそうな様子は一切ない。
「ユキ先輩とのこと……怒ってないの?」
「怒ってるかって聞かれたら怒ってる。でも、ユキの気持ちも分かるから」
「ユキ先輩の気持ち……?」
「あぁ」
蓮はハァと息を吐き出すと、ポケットの中から取り出した煙草に火をつけた。



