王子様の甘い誘惑【完】


「お前、どういうつもり?理生が俺の女だって知ってるだろ?」


「あぁ。知ってるよ」


「それならどうして手出したんだよ」


「愛子の時みたいに、また理生ちゃんを傷付けるんだろ?俺なら理生ちゃんを傷付けたりしない」


「テメェ……――!!」


蓮は唇をグッと噛み締めると、右腕を振り上げた。


やだ……あたしのことで喧嘩しないで……――!!


「……――蓮、やめて!!」


そう叫ぶと、蓮はユキ先輩の顔の直前でピタリと拳を止めた。