王子様の甘い誘惑【完】


「あっ……――!」


思わず音のする方へ視線を向ける。


「お前ら、何してんだよ」


そこにいたのは、蓮と愛子さんだった。


眉間に皺を寄せた蓮はあたし達の前に歩み寄る。


愛子さんは口元に手を当てて目を見開いて驚いていた。



「おい、ユキ。立てよ」


「蓮……あのね、これは……――」


「理生は黙ってろ。早く立てって言ってんだろ」


「……分かったよ」


ユキ先輩はゆっくりと立ち上がると、蓮と向かい合った。