「蓮と付き合いだしたって知った時、それでいいんだって思った。俺が我慢すればいいんだって」 ユキ先輩が……あたしを好き?そんな……まさか……――。 「でも、もう我慢するのはやめる。俺なら、理生ちゃんを泣かせない。約束するよ」 先輩の指先があたしの頬を撫でる。 あまりの驚きに、頭が上手く働かない。 「俺にしなよ?」 その言葉と同時にあたしの唇に、柔らかい何かが触れた。 蓮の香水とは違う、もっと甘い匂い。 その匂いが鼻に届いた瞬間、あたしはハッとして先輩の胸を押し返した。