王子様の甘い誘惑【完】


「蓮は俺の愛子への気持ちを知ってて、あいつを裏切ったんだ」


その言葉にほんの少しだけ蓮への憎しみがこもっている気がして。


あたしは堪らない気持ちになった。


蓮とユキ先輩の間に……そんな過去があったなんて。


『腐れ縁』とか『恋のライバル』とか……。


蓮とユキ先輩の会話をあまり深く考えようとはせずに、聞き流していたから。


様々な想いが交錯(こうさく)して、頭の中がゴチャゴチャになる。



「……だから、もう蓮に好きな子が傷付けられるのは耐えられない」


「え……?」


好きな子がって……それって……――。



「俺、理生ちゃんが好きだ」


ユキ先輩は真剣な表情でそう言うと、あたしを見つめた。