王子様の甘い誘惑【完】


「理生。ちょっとここで待ってろ。すぐ戻るから」


蓮はあたしの頭をポンッと叩くとそのまま歩きだす。


愛子さんはあたしに微笑みかけると、そのまま蓮の後を追って走り出した。



「……蓮のバカ」


一人その場に取り残されたあたし。


膝を抱えて、その間に顔を埋める。


蓮の今の彼女は……あたしだよね?


それなのに、どうして愛子さんを選んだの?


それって、今も愛子さんが大切ってことだよね?


……あたしよりも……愛子さんの方が……。


悔しくなって唇をグッと噛み締めた時、ポンッと肩を叩かれた。