王子様の甘い誘惑【完】




「マジ……ダルい。こんなことになったのは、全部理生のせいだからな」


校舎と旧校舎の間にある中庭に到着すると、蓮は横目であたしを睨んだ。



「チョッ……!!それはあたしのせいじゃないよ!!蓮のせい」


「ハァ?俺のどこが悪いって言うんだよ」


「顔、スタイル、雰囲気。嫌味なくらいパーフェクトなその見た目が悪いの!!」


「そんなの知るか」


蓮はうんざりした表情で溜息をつく。



この場所に到着するのに、本来なら5分もかからないはず。


それなのに、15分以上かかってしまった。



廊下を歩けば、蓮の美貌に惚れた女の子が群がる。


「番号交換しませんか?」とか「何組ですか~?一緒に回ってくれません?」とか。


何度廊下で呼び止められたことか。