王子様の甘い誘惑【完】


「今の見た~!?すごくない!?」


「ていうか、男の子……超イケメン!!」


周りの女の子達は、蓮に熱い眼差しを注ぐ。


あたしの存在なんて目に入らない様子で。



蓮は一通り周りを見渡すと、


「ゴチャゴチャうるせぇのがいるから、ここ出るぞ」


うんざりしたようにそう言った。


蓮も……ようやく事の重大さに気が付いたらしい。



「なにしてんだよ。いくぞ」


蓮はそのままあたしの手をギュッと掴むと、人をかき分けて扉に向かう。



「理生~!!またあとでねぇ~!!」


「……――うん!!」


あたしはサヤにブンブンと手を振ると、蓮に引っ張られて教室を後にした。