王子様の甘い誘惑【完】


やってきたお客さんはそれぞれ、お目当てを見つけたら積極的に声をかけていく。


教室の中に漂うおかしな雰囲気に、堪らずサヤに視線を送る。


サヤは言い寄ってくる男に苦笑いを浮かべていていた。


なにこれ……これじゃ、漫画喫茶じゃなくて出会い喫茶だ。



ぼんやりとクラス内を見回していると、突然ガシッと腕を掴まれた。


慌てて振り返ると、そこには他校の制服を着た派手な男の子が立っていた。


「……えっ?」


「可愛い~!!ねぇ、名前なんて言うの?」


「えっと……」


「名前くらい教えてよ~!!減るもんじゃないんだから~。で、名前は?」


明らかに女慣れしている男の子は、勝手に話を進めていく。