王子様の甘い誘惑【完】


「……つまんないの~……――んっ?」


持っていた本を棚に返そうとした時、ふとあるものが目にとまった。


本棚の奥でグシャグシャになっている紙のようなもの。



「何これ……」


手を本棚の奥に突っ込んでそれを引っ張り出してみる。


取り出してみると、それはただの紙ではなく写真だった。


心臓がドクンっと一気に不快な音を立てて鳴り始める。



「これって……」


写真の中で、蓮と知らない女の子が笑顔でピースをしている。


蓮の髪は今とは違って黒くて、耳にピアスもしていない。


顔も今よりずっと幼い。