王子様の甘い誘惑【完】


愛沢家の平屋建ての倒壊寸前のあの家を売りに出したとしても、きっと入学金を返すこともできない。


サヤっていう友達も、ユキ先輩っていう優しい先輩もできたのに。


……それに何より、あたし……蓮と離れたくないよ。


こんなことになるくらいなら……最初からこんな形で出会いたくなかった。


蓮の家政婦なんて……しなければよかったよ……。


「……ねぇ、あたしクビなんでしょ!?」


自然と涙がポロポロと頬を伝い、あごにまで流れていく。