王子様の甘い誘惑【完】


すると、悩むあたしに痺れを切らしたのか、蓮が強引にあたしの腕を掴んで引っ張った。


その拍子で、あたしは蓮に覆いかぶさる様なかっこうになってしまった。


「ちょっと……何するの!?」


体をどけようとすると、蓮の両腕がガシッとあたしの背中に回る。


ちょっとでも動けば唇が触れ合ってしまいそうな距離。


互いの息遣いすら聞こえてきそうで。


顔が一気に熱を帯びたのが自分でも分かった。



「俺さ、何度も言うけどお前のこと本気なんだけど」


「……ッ……――!!」


甘い台詞を間近で囁かれて、頭の中が痺れたように働かなくなる。