王子様の甘い誘惑【完】


「あのっ……、さっきはありがとう」


バスルームを出てリビングのソファでテレビを見ていた蓮に近付いていく。


「別に。そんなとこに突っ立ってないで座れよ」


「そうしたいのは山々だけど、無理でしょ?」


ソファを一人で占領している蓮。


目で「伸ばしている脚を引っ込めて」と訴える。


でも蓮は顔色一つ変えずに、自分の太ももをポンポンっと叩いた。



「ここに座ればいいだろ」


「……そ、そんなの無理に決まってるでしょ?」


だって太ももの上に座るってどういう風に座ればいいか分かんないし……。



またいだらチョットいやらしいし。


蓮に背中を向けて座ったら、よく分からないことになるし。


だからっていって横向きっていうのも……ないよね?