王子様の甘い誘惑【完】


「ちょっ……」


「黙れよ。抵抗すると、襲うよ?」


両手首を掴まれ背中を壁に押し付けられている状況じゃ、抵抗のしようがない。


でも、これで負けなんて思われたら悔しい。


悔しすぎる。


……絶対に負けない!!


「襲えるもんなら、襲ってみなさいよ!理事長が帰ってきたら、あんたは間違いなく退学だよ!それでもいいの!?」


理事長室でこんな暴挙を働くなんて、頭のネジが数本吹っ飛んでいるんだろう。


だけど、理事長にこんなことをしているのが見つかったら、退学ということくらい分かるはず。


あたしが大声でそう叫ぶと、蓮は口の端をクイッと上に持ち上げた。