王子様の甘い誘惑【完】


ヤバいなぁ……。


これからもっと酷くなりそうだし、早めにお風呂に入ってしまいたい。


あたしはソファに座ってコーヒーを飲んでいる蓮に近付いていき、声をかけた。


「あのさ、今日先にお風呂入ってもいいかな?」


「何で?」


蓮は視線をテレビからあたしに移す。


その瞳に、わずなか好奇心を含ませて。



「もしかして、雷が怖いから早めに入っておこうとか?」


「べ、別に怖くなんかないけどねっ!」


「だよな。ガキじゃあるまいし」


「……ハハッ……。まぁそうなんだけど……今日は……――」


「俺が先入るから。お前はその後入れよ」


蓮は意地悪く口の端をクイッと上に持ち上げる。


「分かったよ……。何分位で出る?」


蓮に雷が苦手だと知られたら、一生それをネタにからかわれそうな気がする。