王子様の甘い誘惑【完】


夕飯はオムライスにした。


雷がくる前にさっさと夕飯を済ませて、お風呂に入って、あわよくば眠ってしまいたい。


そんなあたしの願いを知ってか知らずか、夕飯の片付けをしている時、小さな小窓からピカッと黄色い光が差し込んだ。


「停電にならないといいけど……」


リビングのカーテンを開けて外の様子を伺う。


春の嵐。


その言葉にピッタリの天候が窓の外に広がっていた。


強い風が窓ガラスを叩いて、激しく降り出した雨音が家の中にまで響いている。


さっきより雷が近付いてきているみたい。


ゴロゴロと地鳴りするような音がひっきりなしに続いている。