「さっきから何ボソボソ呟いてんだよ」 蓮の言葉にハッと我に返る。 「ううん、別に何でもない」 「ちんたら歩いてんじゃねぇよ。さっさと帰るぞ」 蓮は買い物袋を持っていない方の手であたしの手をギュッと掴んだ。 「……ッ……――」 繋がれている手を振り解くのは簡単なのに、あたしは何も言わなかった。 蓮の熱を感じる度に、蓮への想いが募っていく。 蓮の手を力をギュッと握ると、蓮は何も言わずに握り返してくれた。 ただそれだけのことなのに、あたしは飛び上がってしまいたいほど嬉しくなった。