王子様の甘い誘惑【完】


「理生ちゃんの料理は味が薄いなんて言ってたけどさ、自分は物凄い勢いで弁当食べてたじゃん」


「見てたのかよ」


「全部見てたよ」


蓮はチッと舌打ちすると、テーブルの上の灰皿に煙草をグリグリと押し付けた。



「理生ちゃんに作ってもらった弁当、本当は嬉しくて昼まで待てなかったんじゃないの?」



嬉しくて……待てなかった?


ねぇ、蓮。ユキ先輩が言ってること……本当なの?


あたしは耳をそばだてて蓮の答えを待った。



「だったら何?お前には関係ないだろ」


だったら何ってことは……


嬉しくて昼まで待てなかったっていうこと!?


まさか……そんな……!


心臓が激しく暴れ出して、思わず胸を両手で抑える。