王子様の甘い誘惑【完】


「こいつの作る飯、味薄いから食わねぇほうがいいぞ」


蓮が差し出し掛けたお弁当箱をグイッとあたしの方に押し返した。


「なっ……!!失礼な!!」


「こいつケチだから、調味料までケチってんだよ」


「そんなことないもん!!」


いつも『うまい!』って言いながら食べてくれるじゃん!!


文句をいいながらも全部食べて、おかわりまでしてくれるし。


それなのに、何でそんなこと言うのよ……。


頭にくると同時に少しだけ悲しくなる。



「理生ちゃん、気にすることないよ?」


「……はい」


ユキ先輩が気を遣ってあたしを励ましてくれた。


その間、蓮はめんどくさそうにテーブルに肘を付いてどこか遠い場所を見つめていた。