王子様の甘い誘惑【完】


っていうか、あたしが作ったお弁当持ってきてくれなかったんだ。


朝、早起きして頑張って作ったのに。


そりゃ、どっちでもいいって言ったけど食べてくれないなんて酷いよ。


わざわざ食堂に来てラーメン食べるなんて。


しかも、あたしがそれを知っても慌てる様子も一切ないし。


信じられない!!蓮にはやっぱり優しさのかけらもない。


ムッとしながら卵焼きを箸でつまんで口の中に放り込む。


すると、突然ユキ先輩があたしのお弁当箱を覗き込んだ。



「そのお弁当、自分で作ったの?」


「そうですよ」


「へぇ……。その卵焼きうまそう」


「あ、よかったら食べますか?」


お弁当箱を差し出そうとした瞬間。