王子様の甘い誘惑【完】


「ごめん、何か先生に呼ばれてる。サヤ、また明日ね?」


「うん。後でメールするね~!バイバイ!!」


サヤに笑顔で手を振ると、あたしは廊下で待っていた担任に声をかけた。



「あの、あたしに何か用ですか?」


「説明は後だ。とにかくついてきてくれ」


「………?」


分厚い眼鏡をかけたいかにも気弱そうな担任。


あたし、なんか悪いことしたっけ……?


不思議に思いながら担任の後についていくと、


「失礼します」


担任はコホンッと一度咳払いをした後、【理事長室】というプレートのかけられている扉をノックした。


……ここ、理事長室なの……?


だけど、どうしてあたしがここに……?


担任がそっとドアノブに手を掛けた瞬間、ドクンっと心臓が不快な音を立てた。