王子様の甘い誘惑【完】


「……あたしのこと、怒らないの?」


「お前、俺に怒られるようなことしたの?」


「勝手に煙草を奪って火を消したこと」


恐る恐るそう尋ねると、蓮はポケットの中をゴソゴソと漁った後、ニヤリと笑った。


「別に。まだあるし」


って、そういう問題じゃないでしょ!?


箱から取り出した新しい煙草を見つめた後、蓮は不敵な笑みをあたしに向けた。



そしてトントンっと煙草で灰皿を叩いた後、


「煙草一本分払え」


そう言って片手をあたしの顔の前に差し出した。