王子様の甘い誘惑【完】


「へぇ~……この部屋が噂のVIPルーム……かぁ」


蓮に連れてこられた場所は、旧校舎の一番奥にある部屋だった。


さっきサヤと一緒に来た時は辺りを見る余裕なんてなかった。


坊主頭の強面の男の子を見ただけで腰が引けてしまったから。


それにその後、蓮にキスされてそれどころじゃ……って何思いだしてんのよ!!


あのキスのことを思い出すと、全身がカーッと熱くなる。



「お前って、百面相だな」


蓮はクックと喉を鳴らして笑うと、大きな黒いソファにドスンっと腰を下ろした。