王子様の甘い誘惑【完】


ブレザーについている校章の色があたしとは違う。


桜花高校では校章の色は学年ごとに定まっているはず。


ということは……。


「蓮って……もしかして先輩なの!?」


「何寝ぼけたこと言ってんだよ。お前と同い年なわけねぇだろ。一緒にすんな」


「ちょっ、そんな言い方しなくても!!」


「昨日も一緒にいたくせに気付かなかったんだろ?このバカ」


「確かに気付かなかったけど、バカって言うことないでしょ?」


「ハァ?」


「バカっていう方がバカなんだよ!!」


頬をこれでもかという位膨らましてそう言い返すと、


「無駄口叩いてる暇あるならさっさとついてこい」


蓮は露骨にめんどくさそうな表情を浮かべた。


「ちょっ……――、どこいくの!?」


そして、蓮はあたしの腕を掴んだままスタスタと歩き出した。