王子様の甘い誘惑【完】


≪キーンコーンカーンコーン♪≫


HRの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


今日は高校生活初日だから、半日で終わり。


先生が教室を出ると、周りの生徒達が慌ただしく帰り支度を始めた。



「ねぇ、理生。番号交換しよっ?」


そんな時、サヤがあたしの席にやってきた。


「うん!!いいよ~」


頷いた時、サヤの手元にあるピンクの携帯に目がいった。



それはずっと憧れていた最新型の携帯で。


携帯のカタログで見つけてずっと欲しいと思っていたけど、手が届かなかった。


だからあたしは今も、数年前の携帯を大切に使っている。


あたしの中で携帯は贅沢(ぜいたく)品だったし、持てるだけでもありがたかった。