「虹ちゃん、どうしてスーツなの?」


「ん?ちょっとな」


曖昧に答えた虹ちゃんが、あたしを見ながら微笑んだ。


「可愛いじゃん」


「あたし、変じゃない?虹ちゃんと並んだら子供っぽいかな……」


「大丈夫だって」


虹ちゃんは、あたしの不安を一蹴(イッシュウ)するような明るい笑顔を見せた。


「どこ行くの?」


「着いたらわかるよ」


ちゃんと答えてくれない虹ちゃんを怪訝に思いながらも、彼に手を引かれるがまま駐車場に向かった。