夕方になると、虹ちゃんがあたしに身支度を整えるように言った。


「支度出来た?」


「もうちょっと……」


答えながらマスカラを付けるあたしに、鏡に映る虹ちゃんが苦笑する。


「俺、支度出来たんだけど」


「女の子は時間が掛かるんだもん!」


「はいはい」


宥めるように返事をした虹ちゃんは、鏡と睨めっこをしているあたしの頭をポンと撫でた。


程なくして支度を終えた時、ベッドに腰掛けて雑誌を読んでいる彼を見てキョトンとしてしまった。