道場から「やあー!」「めーん!」「あいやー!」といった声が聞こえてくる。


・・変な叫び方する人って絶対いるよね・・・。

「ゆーちゃんさん、女の人の声聞こえてこないですよ?」

「由美ちゃん、普通に悠でいいよ・・・。でもそうだね、なんでだろ?」
そう言った矢先。



「おらぁ!!」


と聞こえてきたのは女子の声。

え、と思って道場に駆け寄る。


すると、そこには制服姿で竹刀を持った少女がいた。
その前には男子が倒れている。


その少女は、しんとなった道場であーあ、とため息をついた。

「無理。今日帰るわ。あすみさん、このあと和歌が来ると思うけど、あたし帰ったって言っといて、ください。じゃ」

「ま、待って!」

入口(いや出口?)に向かおうとした少女に男子は叫ぶ。

少女は体だけこちらを向いてる。

「うちの部には君の力が必要なんだ!君や部員の向上のために練習を・・・」

「あ?」

少女はまたため息をつく。
「あたしそういうのやなんだよね。過剰期待?ていうか強制がやだし、それに、」

少女はくるりと向き返る。
今度は顔ごと、こちらに。

「あたしは道具じゃなくて、中坂美姫っていう人間だっつーの」