彼の傷は少しずつ癒えていた。 深まる雪と同じように私の心の中に彼への思いが降り積もってゆく。 雪解けまでの命。 私は桜の季節には龍神様の生贄となる…。 「すまない…」 私は彼の背中を布で拭いてあげた。 「お侍さんには…京に愛しい方がおありなんですよね」 彼は俯き…間を空けて返した。 「……一度たりとも…娶るったことはないし、愛しい者などいない」 「!?」 でも…?文には誰かを想う気持ちが詠まれていた…。