・女優サイド・


私は一生、
表舞台に立てない。


「順子・・・。」


「大丈夫だよ。」


「だって・・・。」


池上ちゃんは、
私の手を持って、
泣いていた。


「目が見えて、
耳が聞こえて、
話せるだけでも、
嬉しいことだよ?」


「けど・・・。」


私は頭から、
首に掛けて包帯が
巻かれていたのだ。