それともうひとつ、 この席で得したこと。 それは、 隣の席の彼の寝顔が見れること。 窓とは反対を振り向くと、 こちらに顔を向けて寝ている 伊織の姿が目に入った。 色素が薄い体質なのだろう、 夏があけても焼けていない白い肌、 少し茶色の短髪、 長い睫毛に、整った顔。 腕を枕にしているせいで、 顔があまり見えないが 隣の席ということだけで 私は毎日、緊張していた 寝ている間になら 好きだと言えるのに。 いざ目の前にすると、 無理なんだよなぁこれが。