妻の横のスペースにこの身を預けるように潜り込み。お互い背を向けるような形になる。

その背中から、妻のぬくもりを感じながら今日一日を思いだしていた。

いつも通りの一日だった。とか、そして、今までの人生を振り返る。


なんて静かな夜だ。
そう感じながら、息を大きく吐いた。


「…ねぇ、まだ起きてる?」

「…あぁ…。」

「…寝むれない?…」

「…そういう訳じゃない…。色々、思い出して…。」

少しの沈黙の後、

「…手を…繋いでもいい?」

「…。」

布団の中でゆっくり妻の手を優しく包んだ。

冷たくて。

「お前の手…冷たいなぁ。」

フフフっと笑う。

「でしょ…、だから離さないでね…。」

気づけば、自然とお互い、顔を向き合っていた。

「おやすみ。」

「…おやすみ。」

俺がそう返すと安心したのだろうか、妻は静かに眠りに落ちてゆく。

その姿につられて俺も眠りに落ちていきながら思った。