次の日の晩。
手袋は、なくなっていた。
実際に、持ち主のもとに無事に戻ったのかは、分からない。
でも、雪だるまを信じて、戻ったと信じておこう。
手袋の代わりに、雪だるまの足元には、ちょっといびつな形の雪うさぎが2匹並んでいた。
まるであの手袋から抜け出してきたみたいだ。
-雪だるまさん、話し相手ができてよかったね?
雪だるまは、昨日と同じ丸い石ころの目で私を見ている。
でも、その瞳は心なしか嬉しそうにほころんでいるように、私には見えた。
職場から家までは、徒歩で25分。
車だと、信号に引っかからなければ5分。
そうなんだけど。
それでも、私はやっぱり・・・
歩くのが、大好きだ。
(ふゆのおと・おわり)



