雪国でよく履かれるブーツの底には、かかとのところに四角の小さな窪みがある。
そのブーツを履いて雪道を歩くと、小さな四角い雪の固まりができる。
その大きさと形がキャラメルによく似ていたので、私は小さい頃からそれを、『キャラメル』と呼んでいた。
雪道に残る足跡に、ぽこぽこと落ちている無数の白いキャラメル。
それははかなくて、手に取ろうとするとポロリとかけてしまうのだけれど。
小さい私はそれを、夢中になって拾おうとしたものだ。
もちろん、口には入れないけれど。
その四角い固まりをキャラメルと思うと、
雪景色がちょっとだけ暖かい風景に変わり、北風に甘い香りが混ざるような気がして、少しだけ寒さを忘れることができた。



