間もなく、広場の隅に、大きな雪だるまが出来上がりました。
ちょうど、雷さんの家のところです。
「これで完成だ」
雷さんは、自分の家の立ち木から小枝を2本、折り取ると、それを雪だるまの両肩にさしました。
まんまるで真っ白で大きくて、立派な雪だるまです。
二人はそれを、満足そうに眺めました。
「なんで、雪だるまを作ろうと思ったの?」
雷さんは、ちょっと言いづらそうにしていましたが、話してくれました。
「おじさんのお母さんが病気でね、その窓ぎわの部屋で寝てるんだ。雪だるまを見たら、元気出してくれるかな、と思って」
ちっとも知りませんでした。
健二くんは知らずに朝騒いでしまったことを、心から申し訳なく思いました。
「・・・騒いだりして、ごめんなさい」
雷さんは、優しく笑います。
「いいんだよ。お母さんも、君たちが遊ぶのを見るのは好きだからね」
それから、こう付け加えました。
「まぁ、物を壊されるのは、カンベンしてほしいけど」



