雷さんが、激しく動揺しました。
どうやら、図星だったようです。

「い、いやね、ヒマだったから作ってみようかと思ったんだけど。なかなか大きいのが作れなくてねぇ」

雷さんは、雪だるまを作るのが久しぶりすぎて、作り方を忘れてしまっているようです。
手で一生懸命雪をかき集めるのですが、いくら大人の大きな手でも、固められる雪玉の大きさは限られています。
照れ笑いを浮かべる雷さんは、いつものおっかない雷さんとは別人のようでした。

健二くんは、ランドセルを下ろしながら言いました。

「ボク、作り方知ってるよ」

作った雪玉を地面に置いてもらうと、健二くんがころころと雪玉を転がします。
積もった雪が雪玉にくっついて、あっという間に大きくなっていきます。

「あぁ、そうか!そうやって作るんだった」

雷さんも加わりました。
いつも怒られてばかりの雷さんと二人で雪だるまを作るなんて、健二くんはとても不思議な気持ちです。

「おじさんが子供のころはねぇ、この辺は一面、田んぼだったんだ。雪だるまとか、うさぎとか作って、いっぱい遊んだなあ」

雷さんが懐かしそうに話します。
その目は、子どものようにキラキラと輝いています。

健二くんはタイムスリップをして子どもの頃の雷さんと遊んでいるような気持ちになって、楽しくなってきました。

誰だって、健二くんと同じ、子供のころがあるのです。
そして、雷さんが子供のころから、同じようにして雪だるまが作られてきたのです。


雪玉を二人で転がし続け、やがて大きな雪玉ができあがりました。

「もう一つ・・・次は頭だよ」

「よし、形よく作ろう」

二人は夢中で、雪だるまを作りました。