短編集*君と紡ぐ、冬


雷さんも、健二くんに気づきました。

健二くんは、蛇ににらまれたカエルのように、怖くて身動きがとれません。

また、怒られる・・・

そう思って健二くんは、覚悟して目をつぶりました。

ところが、待っても待っても、怒鳴り声は飛んできません。

健二くんが恐る恐る目を開けてみると・・・

そこには、きまり悪そうにもじもじしている、雷さんがいました。

「・・・?」

いつもの威勢のいい雷さんではありません。
心なしかほっぺたを赤らめながら、

「い、今雪かきをしていたところだ。あー忙しい」

と、聞いてもいないことを喋り出しました。

でも、雷さんの手にはスコップなどありません。

あるのは、バスケットボールくらいの大きさに固められた、雪のかたまりでした。

健二くんが、聞きました。

「・・・もしかして雪だるま、作ってるの?」