短編集*君と紡ぐ、冬


その日、5時間目の算数の授業が終わる頃には、雪はすっかり止んでいました。
切れ切れになった雪雲の間から、薄い水色の空が見えます。
けれども、その隙間から差し込むお日様の光は弱々しく、耳がちぎれるような寒さです。

健二くんは、踏み固められた白い道路を、一人で家に帰ります。
明くんは、今日は塾の日なので一緒に帰れません。
一人だと、余計に寒く感じました。

滑って転ばないように、ずっと下を向いて歩いていると、いつの間にか広場の前まで来ていました。

「ブワッカモーン!」

朝のカミナリ声を思い出し、思わず身震いしてしまいました。

見つからないうちに、早く帰ろう・・・

そう思ったとき、健二くんは広場の隅に立っている人と、目が合いました。

・・・目が、合ってしまいました。

そう、そこにいたのは、あの雷さんだったのです。